
本賞受賞作の「うぬぼれ刑事」は偶然を必然に転化させ、言葉の遊技とレトリックで見事に現代を体現させた刑事ドラマである。
5月31日(火)、「第29回向田邦子賞」(向田邦子賞委員会、株式会社東京ニュース通信社主催)の贈賞式が行われました。向田邦子さんの没後30年という大きな節目にあたる今年は、ドラマ「うぬぼれ刑事」('10年/TBS系)の脚本を手がけた宮藤官九郎さんが受賞。本賞の特製万年筆と、副賞の300万円が当社代表取締役社長・奥山卓から贈られました。
受賞作の「うぬぼれ刑事」は、恋愛体質でうぬぼれが強い刑事・"うぬぼれ"(長瀬智也)が、自らが一目惚れしてしまった女性が犯した罪の真相を突き止めていく作品で、本作は宮藤官九郎が7年間の構想の果てに実現した初の刑事ドラマであります。
選考委員の池端俊策氏は「飛躍のある構成、瞬発力のあるセリフ、やはりちょっと頭抜けたものがあるという結論に至りまして、宮藤さんに全員一致で決定しました。今、作家性を連続ドラマの中で出していくのは難しい時代ですが、我々も宮藤さんのような方に牽引車として引っ張ってもらえればいいのではないかという思いもありまして、選考委員全員受賞を喜んでおります。おめでとうございました」と作品を絶賛しました。
壇上で祝福された宮藤さんは「連続ドラマを書き始めたのが'00年。TBSで『池袋ウエストゲートパーク』を書き始めて、そこから10作品、昼ドラも入れると、10年目でこの賞をいただきました。だからってわけじゃないけど、うぬぼれ役をやってくれた長瀬くんとは『池袋〜』のころから、5年ごとに『タイガー&ドラゴン』(TBS系)にも出てもらい、ちょうど10年だなって話してまして。各回のゲストが犯人っていうのも、それも記念みたいな作品だなと思って作ってました。1話、2話、最終話とディレクターをやらせてもらって、自分で撮ったので現場の大変さもわかりましたし、なんとなくいつもよりは現場のスタッフ・キャストとコミュニケーションをとりながら、頑張って作った作品で賞を取れたのはとてもうれしいです。連続ドラマは大変ですし、僕も40代になりまして猛スピードでって感じではなく、いろいろ考えたり悩んだりしますけど、オリジナルの連続ドラマはこれからもずっと続けていきたいと思います、とあらためて思いました。本当にありがとうございました」と受賞のあいさつをされました。

会場には、長瀬智也さん、生田斗真さん、中島美嘉さん、荒川良々さん、要潤さん、矢作兼さん、森下愛子さん、薬師丸ひろ子、三田佳子さん、竹下景子さんらキャストのほか多数の芸能関係者、TBSプロデューサーの磯山晶さんをはじめとする各テレビ局関係者ら約230名がお祝いに駆けつけました。
主演を務めた長瀬智也さんは「犯人を捕まえにいく最中に踊るというものすごく斬新な刑事ドラマだなと実感しまして、毎回宮藤さんの刺激的な演出や脚本に驚かされるんですが、役者として再現する快感みたいなものも同時にありまして。先ほど話しにでた『池袋〜』から10年目の『うぬぼれ刑事』に参加させていただいて、このような素晴らしい賞を宮藤さんがいただけたことが僕自身も光栄に思います」、生田斗真さんは「宮藤さんの書く作品には俳優への愛を感じます。そしてその愛を体いっぱいに受けとめられる主役という立場の長瀬さんがとてもうらやましくて、自分もいつか宮藤さんの作品で主役を張りたいなと心から思いました」、中島美嘉さんは「私なんかをこんなに素晴らしいドラマに呼んでいただいて、出てもいいよって言ってもらえたことはすごく私にとって誇りに思います」と、それぞれ祝福のメッセージを贈りました。
宮藤さんは終始笑顔を浮かべ、招待客の方々と受賞の喜びを分かち合っていらっしゃいました。
