第33回 向田邦子賞

 プレミアムよるドラマ「徒歩7分」(2015年1月6日〜2月24日/ NHKBSプレミアム)の脚本を手がけた前田司郎さんが第33回向田邦子賞を受賞!

※「向田邦子賞」について、詳しくはコチラをご参照ください。

贈賞式レポート

「第33回向田邦子賞」受賞された前田司郎さん

 2015年6月2日(火)、「第33回向田邦子賞」(向田邦子賞委員会、株式会社東京ニュース通信社主催)の贈賞式が東京都千代田区の帝国ホテル「光の間」にて行われました。今年は、プレミアムよるドラマ「徒歩7分」(2015年1月6日〜2月24日/ NHKBSプレミアム)の脚本を手がけた前田司郎さんが受賞されています。贈賞式では池端俊策選考委員から選考経過説明ののち、大石静選考委員から賞状が授与され、続いて本賞の特製万年筆と、副賞の300万円が弊社代表取締役社長・奥山卓から贈られました。

  受賞作のプレミアムよるドラマ「徒歩7分」は、田中麗奈さん演じる主人公・黒崎依子が住むアパートから「徒歩7分」圏内で起こる出来事を描いています。なかでも、人間関係や人が生きていく様をせりふによって丁寧に表現しており、加えて、日常の中に潜んでいるハッとする大切な瞬間を気づかせてくれる作品です。





池端俊策委員から選考経過をご説明いただきました

弊社社長・奥山卓より本賞と副賞が授与されました


 池端選考委員は「今回もたくさんのオリジナル脚本作がありましたが、向田邦子賞にふさわしい作品を選考していく過程で、全員で意見をぶつけ合い意見が分かれることもありました。前田さんの作品は、せりふで読ませる脚本で、『徒歩7分』は一人の女性の生活を擬視的に追いかけていくものでした。人間関係をせりふで構築し、せりふが世界を作っていく。その世界をまたせりふが壊していく。作り上げて壊すという人間が生きていく様をせりふで面白おかしくすることで、悲劇的な女性なのにユーモアがありそこが現代的で感動しました。向田邦子さんの作風という点で考えても、とても良かった印象があります」と選考経過を説明するとともに、称賛の言葉を贈りました。


 前田司郎さんは受賞の喜びを次のように語りました。

 「僕は小学生の頃から一人で小説を書き始め、中学や高校になっても書き続けて、全然友達ができなかったんです。そのときに小劇場で芝居を見て、これだと友達ができるかもしれないなと思って戯曲を書き始めました。今はシナリオも書かせていただくようになって、今回のこの賞をいただくことになりました。今日、蝶ネクタイをつけながらこの姿をどこかで見たことあるなと思ったら、大学のときに初めてアルバイトしたカラオケ店の制服とまったく同じで。受賞した『徒歩7分』の主人公である依子もカラオケ店でバイトしようとしてクビになってしまうんですが、どこか自分を依子に重ねてシナリオを書いていました。それを中島由貴さんが演出して田中麗奈さんが演じてくれたことで、自分から離れてもう一人の人間として生きているのを見て感動しました。依子が最後に漫画家になる決心をして、根拠のない自信だけで書き始めるというラストで終わるんですけど、それも自分に重ねていて。芝居やシナリオの仕事を始めたとき、自分も根拠のない自信がありました。ただ、仕事をしていくうちに賞をいただくようになってちやほやされはじめ、ある日突然書けなくなったんですね。根拠のない自信を頼りに書いていたのに、自信に根拠が出てしまった。賞を自信の拠り所にして賞を取るために、誰かのために書くようになってしまって。その根拠を捨てていくという作業をして、スランプを脱したときに書いたのが『徒歩7分』なので、この作品で賞をいただけたのはとても嬉しいです。明日になったら(賞のことは)忘れて、また自分が面白いと思うものを書き続けたいです。ありがとうございました。」

乾杯のご発声はNHK制作局 局長・若泉久朗さん


 また、会場には、田中麗奈さん、菜葉菜さん、鮎川桃果さん、平野勇樹さん、青山美郷さん、黒田大輔さん、金子岳憲さん、池田莉々依さん、おむすびさん、吉田昌美さん、西田麻耶さん、伊藤昌子さん、梅沢昌代さん、石野真子さんらキャストのほか多数の芸能関係者、NHKプロデューサー・山本敏彦さん、演出の中島由貴さんをはじめとするテレビ局関係者など、約200名がお祝いに駆けつけました。






「徒歩7分」ドラマキャストが多数お祝いに駆けつけてくださいました


 主人公の依子を演じた田中麗奈さんは「本当におめでとうございます。壇上に上がった前田さんを見て涙が出ました。前田さんが選ぶ言葉が改めて好きだと思いました。作品は終わりましたが今も登場人物は生きていて、物語が続いている感じがします。それは、前田さんが登場人物を愛して大切にして脚本を書いているからだと思います。好きなせりふはたくさんありますが、強いて選ぶとすれば、依子が天気の良い窓を眺めるシーンで語る『頑張ろう、何かを』です。『がんばろう』がネガティブに捉えられがちな世の中で、それでも『がんばろう』って素敵な言葉だと思います。作品が終わっても人の心に生き続ける、そんな作品に参加できて光栄です。これからもご活躍を楽しみにしています」、石野真子さんは「おめでとうございます。現場でせりふを言うのがとても楽しかったし、放送を見て本当に楽しかったです。この作品に参加できて嬉しかったです」と、キャストのみなさん一人ひとりが前田さんへの感謝と祝福のスピーチをされました。

ドラマキャスト一人ひとりからお祝いのメッセージをいただきました


 前田さんは終始笑顔で会場内を回り、招待客の方々と受賞の喜びを分かち合っていらっしゃいました。また、幾度も記念撮影に応じており、終盤には主宰劇団の方々と大勢で、壇上で記念写真を撮るなど、非常に賑やかなパーティーとなりました。